(前回の続き)少年野球のエース(※自称)が、東京に行きたくてバレー部に入った結果
(前回のつづきです。)
こうして私は、晴れてバレー部員になりました。
動機はシンプルです。
東京に行きたい。
「まずは県大会優勝目指して応援だ!」
「全国大会で東京行きたい!」
競技への情熱?
正直に言います。
ほぼゼロ。
動機の100%が「東京!」でした。
さて、その後の
「全国大会・東京行き計画」ですが、
結論から言います。
県大会、優勝できませんでした。
……うそでしょう?
入部して間もないのに、
心はいきなり燃え尽き症候群。
「この先どうしよう」
「東京、行きたかったなぁ……」
さすがに人生、そんなに甘くないか。
そう思っていたのです。
――が、話はここで終わりませんでした。

「まあ、来年だな」
「今の2年生の先輩に期待しよう」
「切り替えが大事だ。」
そう自分に言い聞かせていた、そのときです。
ある重大な事実に気づきました。
2年生、4人しかいない。
つまりどういうことか。
1年生もレギュラーにならないと、
6人揃わない。
そしてなぜか、
こんなお触れが回ってきます。
「お前、レギュラーね」
え?
……おれ?
いきなり?
僕、アタック、
まだ「えいっ」レベルなんですけど?
スパイクというより、
ちょっと強めの返球。
でも1年生の中で
なぜか私が一番背が高かったため、
繰り上がり当選です。
「これは県大会優勝どころの話じゃない」
誰がどう考えてもそうです。
もうこの時点で、
目標は完全に見失っています。
ところが――
実は2年生に、
とんでもない先輩が一人いました。

どれくらいすごいかというと、
相手のブロックの上からアタック。
しかもそこから鋭角に――
ズバーン!!
床に突き刺さったボールは、
そのままバウンドして2階席へ消えていきます。
・ジャンプ力どうなってる?
・全日本でも見たことないぞ?
・というか、ボール大丈夫?
全員がツッコミ役になるレベルです。
「これは……もしかして県大会優勝、ある?」
……と思いたいところですが、
バレーはチームプレー。
いくらすごい人が一人いても、
勝てない……はずでした。
現実はこうです。
このチームの勝利方程式
ピンチになる
↓
その先輩にトスを集める
↓
先輩がバシーン!!
↓
得点
はい、勝ちます。
ほぼ先輩一人の活躍です。
私の役割はというと、
① コートに立つ
② 邪魔をしない
③ 先輩にトスを上げる
以上。
6人制バレーの
一部システムとして存在していました。
戦略もへったくれもないこのチーム、
ところがなぜか――
県大会、優勝。
ということは……
全国大会!?
東京!?
……と思ったら、
この大会、全国大会の切符なし。
優勝しても、
「はい、おしまい」。
ぬか喜び、ここに極まれり。
「次の大会で優勝すれば行ける!」
と皮算用しましたが、
人生はそんなにうまくできていません。

結局、優勝したのはこの大会だけ。
そして、
あのすごい先輩も引退。
それに残念ながら私たちの代の実力は、
せいぜい県大会出場レベル。
「目指せ全国!」なんて、
口に出すことすらありませんでした。
こうして、
東京で全国大会、という私の目論見は、
何ひとつ実現しないまま、
きれいに夢となって消えました。
東京に行きたくて入ったバレー部。
結果、行けたのは
市内の体育館だけでした。

